報道にみる野鳥おじさんの活動 (〜 1994)

  • 『弱ったハト捕らえ治療』  朝日新聞 '88. 4.30

    武庫川にハト捕りの名人がいる。西宮市立勤労青少年センターで指導員を努める松阪龍起さんだ。阪神武庫川駅付近で、米や麦をまき、ハトをひきつけては、足の指がなかったり、ふくれあがっているのをみつけて、さっと取り押さえる。足には釣り糸のテグスが絡み付き、指に食込んでいる。松阪さんが、昨年暮れ、この妙技を習得し、助け出したハトは78羽になる。「野鳥を直接、捕らえる保護の仕方は聞いたことがない、是非習得したい」と愛鳥家の関心を呼んでいる。

  • 『菓子箱の破片に突き刺されたハト』  朝日新聞 '90. 2. 1

    釣り糸や針が足に絡んで傷ついた野鳥の保護、治療をしている松阪龍起さんが、菓子箱の破片を首に突き刺されたハトを市内の公園で見つけた。獣医に治療してもらい、命はとりとめた。猫か犬に噛まれた傷痕に菓子箱を捻じ込んだらしい事が分かった。

  • 『捨てたタコ糸ハトには”凶器”』  朝日新聞 '91. 2.27

    凧上げシーズンのこのところ、捨てられたタコ糸がハトに巻き付いて衰弱しているのを松阪龍起さんは保護して治療している。凧上げの子供たちは、タコを高く揚げる事だけに夢中で、糸が縺れても面倒くさがって切ってしまうようだ。落ちたままほったらかしのタコもあるという。

  • 『切れた糸を捨てないで!』  朝日新聞 '91. 9.26

    釣りシーズンの到来で、野鳥の受難が増えてきた。糸による野鳥の被害を訴える松阪龍起さんは、「たった一本の心無い釣り糸のポイ捨てが、野鳥の命を奪ってしまうことさえある。釣りをする人は、自分が使った糸や針を持ち帰るという最低限のマナーだけは守って欲しい」と呼びかけている。

  • 『釣り人よルール守って』  産経新聞 '92. 9. 1

    公園や河川敷でけがをした鳥を捕まえてきては治療している、松阪龍起さんは「けがの原因は殆どが捨てられた釣り糸。糸が絡まって足がちぎれたり、羽に絡んだ糸が木に引っ掛かり飛べずに死んでしまうことも。昨年一年間に糸を切り治療したハトは三百羽近くにもなります」という。武庫川河川敷を歩きながら釣り糸を拾うと、約2時間でバレーボール大の糸玉が出来るという。

  • 『釣り糸のみこんだユリカモメ助ける』  朝日新聞 '92. 9.26

    兵庫県西宮市大浜町の浜辺で25日、ユーラシア大陸北部から越冬のため飛来したとみられるユリカモメが浅瀬でもがいているのを、「釣り糸から野鳥を守る会」の松阪龍起さんが見つけた。足や羽、くちばしなどに釣り糸が絡まり、釣り糸を飲み込んでいるらしいため、松阪さんが獣医林弘之さんに持ち込んでX線検査をした結果、釣り糸が胃の付近に引っかかっている事が分かった。林さんは切開手術を施して針と糸を摘出した。完全回復まで約3週間が見込まれるという。

  • 『手術で回復、一週間ぶり空へ』  朝日新聞 '92.10. 2

    25日、西宮市大浜町で保護されたユリカモメが手当ての結果、すっかり元気になり、一週間ぶりに大空へ飛び立った。釣り糸を摘出するために胃を切ったため、回復に3週間ほどかかると思われたが、予想以上に回復が順調だった。

  • 『市民ら『無念の死』悼む』  朝日新聞 '93. 5. 4

    記者2人が死傷した朝日新聞阪神支局襲撃事件から満6年を迎えた。西宮市の阪神支局1階に設けられた拝礼所には市民や知人らが次々と訪れ、故小尻知博記者(当時29歳)の無念の死を悼んだ。小尻記者が書いた、釣り糸が足に絡まったハトの記事をきっかけに発足した「釣り糸から野鳥を守る会」の松阪龍起さんと茨木市の吉田恵子さんも拝礼に訪れた。

  • 『マガモの足に釣り針』  産経新聞 '93. 7.10

    足に釣り針が刺さったマガモの保護をした松阪龍起さんは、西宮市立鳴尾小学校で児童らに紹介、動物愛護を呼びかけた。2年生と6年生の児童らを前に「人間が置いてかえった釣り糸や針が野生の動物を傷つけている」と説明。子供たちは元気になったカモを抱いて「良かったね」と大喜び。6年3組の竹内真理さん(12)は「かわいかった。将来は、獣医さんか動物愛護家になりたい」と話していた。

  • 『釣り針ガモを保護』  毎日新聞 '93. 7.11

    尼崎市の武庫川岸で足に釣り針が刺さったマガモを近くに住む藤原保さん(62)が発見し、松阪さんに連絡を取って2人で共同で保護、治療した。今ごろはシベリアに帰っているはずだが、怪我で飛べなかったものとみられる。松阪さんは毎日武庫川岸を歩いて、捨ててある釣り糸を拾い、釣り人に捨てないよう呼びかけている。昨年10月頃、ハゼ釣りをしていた藤原さんに話しかけ、藤原さんがその時受け取った名刺があるのを思い出し、電話した。

  • 『ハトさんが可哀そう』  毎日新聞 '93. 7.25

    西宮市立鳴尾東小学校の児童が24日、東鳴尾町の武庫川河川敷で、足に釣り糸が絡まったハトから糸を取り除き、空に放した。同校の教諭だった松阪龍起さんが講師として招かれて子供たちを指導した。3年生の杉本直子さん(8)は「足が痛そうでハトがかわいそう。ごみを捨てないよう注意し、落ちているごみは拾います」と話していた。

  • 『児童らの通報でアオサギを保護』  朝日新聞 '93. 8. 1

    「鳥が倒れて動けないんです」--31日午前6時半ごろ、伊丹市池尻六丁目の市立いけじり幼稚園で、子供たち約10人とラジオ体操に集まった北池尻団地子供会会長の水野栄里さんから朝日新聞阪神支局に連絡があった。鳥は松阪龍起さんによって西宮市内の動物病院に運ばれて手術を受けた。同病院によると、サギ科のアオサギで体高約1mで両足が複雑骨折しており、足にはビニールテープが巻き付いていた。動けなくなったところを犬か猫に襲われたものと思われた。

  • 『あっ! 片一方がない』  朝日新聞 '93. 9.29

    尼崎市丸鳥町の武庫川河岸に片翼のない鳥がいるのを近所の藤原保さんが見つけた。連絡を受けた松阪龍起さんがこのほどカメラに収めた。鳥は、ガンカモ科のミコアイサの雌。例年11月頃、カムチャッカやシベリア等から日本にやってきて4月頃帰る渡り鳥だという。日本では繁殖しない鳥であるので、何らかの理由で翼が無くなったため帰れなかったものと思われる。

  • 『たこ糸でもハト受難』  朝日新聞 '94. 2.14

    遊んだ後に公園や広場に放置されたたこ糸が、ハトに絡み付いて指や脚を傷めている。「冬は釣り糸より、たこ糸の犠牲になっているようだ」と松阪さんは呼びかけている。今年になってたこ糸が脚に絡んだハトを約20羽見つけているという。松阪さんが拾い集めた糸は約1キロにもなる。そのほか、ビニール紐の細く裂けたものやカセットテープなどもハトの脚に絡むとのこと。

  • 『場所取り用ひも絡まる、ハト受難』  毎日新聞 '94. 4.16

    花見の宴の後始末が出来ない人間がハトを苦しめている。場所取りに使って放置されたナイロンひもが足に絡みつき、自由を奪われるケースが急増。今年は開花期間が短く、場所取り合戦が激化したためか、松阪龍起さんによると、被害に遭うハトは例年の2、3倍にも達している。桜並木が美しい夙川公園で、松阪さんが1m以上のひもを足にぶらさげて飛ぶハトをみつけたのは今月13日。同公園の数十羽のハトの半数近くが、ひもを足に巻き付けていた。近くの西武庫公園でも、数百羽のハトが同じ被害を被っているという。

  • 『故小尻記者遺影に礼拝』  産経新聞 '94. 5. 4

    小尻記者が凶弾に倒れて丸7年。西宮市市長や、松阪龍起さんら市民も礼拝に訪れた。

  • 『脚に洗濯バサミ、人間不信のハト』  朝日新聞 '94. 5.18

    尼崎市武庫元町の県立西武庫公園に、4月ころから左足を洗濯挟みで挟まれたハトが暮らしている。人間不信で地上に降りて餌をついばむ事も出来ず、日に日に弱るばかり。市の職員と松阪龍起さんらが捕らえようと試みているが、警戒心が強くて5m以内に近寄れない。子供のいたずらか、ハトのふん公害に憤慨した人が見せしめにやったのかと推察される。

  • 『野鳥の釣り糸被害、武庫小児童に説明』  朝日新聞 '94. 5.20

    尼崎市武庫元町の西武庫公園で19日、松阪龍起さんが近くの武庫小学校の1年生児童にビニールひも等で野鳥が傷ついている現状を話した。同公園では最近、脚に洗濯バサミが挟まったハトが見つかったばかり。「糸をはさみで切ればいいけれど、ハトは自分では切れません」と説明。柴田章太郎君(6)は、「糸は細くて硬くてなかなか切れない。とても可哀想だった」と話していた。

  • 『カイツブリの夫婦愛』  毎日新聞 '94. 8.10

    干上がった西宮市戸崎町の武庫川の水溜まりで、2羽の野鳥が弱々しく寄り添って泳いでいるのを見つけた近くの人が9日、松阪龍起さんに連絡。松阪さんはさっそく現場に行き、居合わせた人が持っていた網で捕まえて獣医に持ち込んだ。カイツブリのつがいで、メスは右側の翼がなく、飛べない状態。カイツブリは夫婦仲が良いことから、オスは飛べないメスに付き添っていたものとみられる。川に帰っていくカイツブリを見ながら、松阪さんは「夫婦愛ですね。ピッタリ寄り添ってますよ」と顔を和ませていた。

  • 『功労者に松阪さん』  朝日新聞 '94. 9.21

    県動物愛護協会と県が、20日からの動物愛護週間に合わせて、今年の動物愛護功労者に松阪龍起さん(68)を選んだ。長年にわたる野鳥保護活動を認め、22日に西宮市役所で伝達する。異常渇水の今夏は、武庫川で魚の保護に活躍した。県などが8月末に行った救出には、松阪さんが声をかけた小学生ら約50人が駆けつけた。阪神間の小学校を訪れ、環境保護を訴え続けてきた成果だ。子供たちからは「野鳥のおっちゃん」と親しまれている。保護した野鳥は二千羽、知り合った人は数千人に上る。松阪さんは「今日もどこかで助けを求める鳥がいると思うと、探しに出てしまう。責任を感じますが、変わらず続けていきたい」と受賞を喜んでいた。

  • 『功労者に松阪さん』  読売新聞 '94. 9.21

    20日から始まった動物愛護週間にちなみ県と県動物愛護協会は、功労者に野鳥保護運動に取り組んでいる西宮市、無職松阪龍起さん(68)を、社会貢献のあった功労動物に県警警察犬のシェパード、アフラ号(メス、4歳)と神戸市立王子動物園のユキヒョウ、ユキエ(メス7歳)を選んだ。22日表彰状を贈る。松阪さんは小学校教諭を退職後、60年から釣り糸の回収や被害にあった野鳥の治療を行う一方で、地元の子供たちに野鳥保護や生き物の命の大切さを訴えている。

  • 『功労者に松阪さん』  朝日新聞 '94. 9.21

    県動物愛護協会と県が、20日からの動物愛護週間に合わせて、今年の動物愛護功労者に松阪龍起さん(68)を選んだ。長年にわたる野鳥保護活動を認め、22日に西宮市役所で伝達する。異常渇水の今夏は、武庫川で魚の保護に活躍した。県などが8月末に行った救出には、松阪さんが声をかけた小学生ら約50人が駆けつけた。阪神間の小学校を訪れ、環境保護を訴え続けてきた成果だ。子供たちからは「野鳥のおっちゃん」と親しまれている。保護した野鳥は二千羽、知り合った人は数千人に上る。松阪さんは「今日もどこかで助けを求める鳥がいると思うと、探しに出てしまう。責任を感じますが、変わらず続けていきたい」と受賞を喜んでいた。

  • 『マナー悪いよ、ハゼ釣り』  朝日新聞 '94.10. 5

    ハゼ釣りで賑わう武庫川河口近くに、釣り人が置き去りにする釣り糸が目立っている。松阪龍起さんは、2、3両日で約500本の釣り糸を集めたが、いっこうに良くならない釣り人のモラルを嘆いている。松阪さんの姿をみて子供たちが「こんなに落ちてたの」と驚いていた。3日は近所の女子高生2人がずっと手伝ってくれたという。松阪さんは、「家族連れで釣りを楽しむ光景はなごやかだが、捨てられた釣り糸で野鳥が被害を受ける実態をみんなで真剣に考えて欲しい」と訴えている。

  • 『武庫川のハト悲鳴』  毎日新聞 '94.10.17

    ハゼ釣りで賑わう武庫川で、放置された釣り糸で受難のハトが増えている。特に最近は針を付けたまま捨てられるものが目立ち、松阪さんは「釣り人がちょっと気を付ければ簡単に解決できる問題なのに」とマナー向上を訴えている。9、10日の連休には千人もの釣り人で溢れかえった後、松阪さんは河川敷で足に釣り糸が絡まったハトを発見。保護してみると食込んだ糸のせいで、足が異様にはれていた。松阪さんによれば、釣り人のマナーはどんどん悪くなっているという。



Back