水虫・たむし

水虫・たむし



水虫とたむしは通称で、どちらも白癬菌(はくせんきん)という糸状のカビが皮膚に寄生して発生する皮膚病。医学的にはどちらも白癬(はくせん)と呼ばれる同じ皮膚病である。

しらくも
体、四肢ぜにたむし
陰部いんきんたむし
手水虫
足水虫
爪水虫
これらは場所が異なるだけで、全て同一のものと考えて差し支えない。しかしそれぞれの症状は大きく異なる。

【症状】
【治療】
一般には、塗り薬で治療する。爪水虫や、足や手の角化型の水虫、また全身に及ぶたむしの場合は飲み薬が必要となる。多くの場合、最低でも半年はかかる。『治癒した』と思っても、なお1、2カ月は続ける必要がある。冬場になっても根気よく治療を続ける事が、完全勝利への道である。

【解説】
白癬菌は、角層と呼ばれる皮膚の表面にしか生息しない。よって水虫・たむしが内蔵にまで病変を広げる事は無いが、角層という人体で最も安定で安全な場所に住んでいる。だから表面にいるとはいっても、洗ったくらいでは取れないし、悪条件になっても(何年でも)生き延びる。実に迷惑な連中である。

白癬菌は適度な温度と、高い湿度を好む。靴を履く生活を続ける限り、人間は水虫と縁が切れないであろう。春先から夏にかけては水虫の最も活発な季節である。しかし冬になっても白癬菌は死滅するのではなく、活動を休止して冬を越すだけであるので、治療は暑い時期はもちろん冬季も続けることが望ましい。

猫などの動物からうつるものもあるが、水虫・たむしは原則として人から人へうつる。靴を長時間履くお父さんが広げる可能性が最も高い。風呂場の足拭きマットやスリッパから伝染しやすいので、別々にした方が良い。皮膚をむくのを習慣にしている人も多いが(これが意外に楽しいらしい)、むいた皮膚片をきっちり捨てないと、それが家族の足にくっついてうつす事になる。足を乾燥させるために、家にいる時は裸足でいるのは治療上は良いのだが、家族にうつす可能性は増えるので慎重にするべきである。

白癬菌は、ただ皮膚にくっついただけでは何も起きない。少なくとも2、3日は皮膚に留まり、適度な環境で生育する必要がある。その意味でも、常に体を清潔にすることは予防につながる。

実を言えば、売薬と病院で処方する薬とでは、それほど抗菌力に差は無いのである。ところが売薬で治療して少しも改善しなかったのに、皮膚科で治療を始めると、すぐに良くなる患者さんが多い。我々皮膚科医がよく経験する現象である。水虫・たむしの治療は長期戦であるので、自分だけで治療するのは精神的にも勢いというか、緊張感が続きにくいのではないだろうか。治療途中でかぶれや感染などのトラブルに陥ることも多く、素人判断では続けにくい面もある。また、薬を途中で適切に変更すると劇的に効果を示す場合もあるし、常に水虫の薬だけを塗っていれば良いわけでもない。ひとくちに水虫の治療といっても、案外奥が深いのである。



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