亜空間




亜空間とは、一口で言って我々の通常の物理法則が通じない時空連続体といえる。

ワープエンジンや亜空間フィールド発生装置は亜空間を人工的に作り、制御もできる。以下にその性質を挙げる。
  • 亜空間フィールドの中の物体の質量は外から見ると小さい。 ("Deja Q" [TNG])
  • 亜空間による時空の捻れは原因が去った後も残っている。 ("Interface" [TNG], "The Maquis" [DS9])
  • 強力なパワーで球対称の亜空間を作ると、新しい独立した”宇宙”が出来てしまう。しかし必ずしも安定ではない。 ("Remember Me" [TNG])
  • 非対称に場を作ると、船は光速(Warp1)で進む。幾層にもなったワープフィールドは相対的に動く。(Technical Manual)
  • 亜空間ソリトンウエーブ(Subspace Soliton wave)に乗ると、船はワープエンジンを作動させなくともワープ速度を出せる。 ( "New Ground" [TNG])
  • 亜空間フィールドは物体そのものの内部に存在する場合もある。 ("Phantasms" [TNG])
  • 安定した亜空間殻は亜空間バリアーを作ることがある。 ("All Good Things..." [TNG])

亜空間は人工的に作ることもできるし、自然にも存在する。そして我々の空間から隔絶されているのではなく連続していて、”見る”ことも可能。その意味では電磁場や重力場と極めて良く似ている。

"Remember Me" [TNG]では機関部の実験中にワープバブルが出来てしまい、医療主任のビバリー・クラッシャーが閉じこめられしまう。そこは全く新しく作られた宇宙で、亜空間を通じてのみアクセス可能であった。

"Schisms" [TNG] では、第三次亜空間に住む生命体が出てくる。彼らには彼らの宇宙があり、亜空間トンネルが繋いでいたのである。
【亜空間には何層もあるらしく、そこに行けば似たような宇宙がある。ちょうど細部を拡大すると、また似た構造が出てくるフラクタル図形のようなものではないかと推察している。そう考えると亜空間が無限に存在するからといって宇宙の大きさを無限に広げなくとも、通常宇宙に内包して一定の大きさに繰り込めるのではないだろうか】

亜空間はどこかの「特定の場所」ではなく、どこにでも存在しうるのである。通常の物体のまわりにも検出されることもあるし、通信は亜空間を通して行われているし、人工的に作り出す事だって出来る。超新星など、大量のエネルギー放出があれば、必ず亜空間が存在しているといわれる。亜空間は時に我々の時空に重大な影響をあたえるが、弱い亜空間フィールドは電磁場と同じく通常空間と大差は無い。

ワープ航行船のエンジンは、我々の空間と密接に結びついた亜空間フィールドを<船の外部に>作って船を包むのである。もし誰かが場の中におり、貴方が外にいるとしても会話もできるし握手だって出来る。しかしフィールドのエネルギーが十分に強く(1,000 milli-cochrane以上)且つ非対称の場合推力を得る。独立した層で幾重にも包むとその効果は飛躍的に増大する。しかし通常空間と相互作用は可能であり、やはり電磁場などと同じようなものである。
亜空間では独自の参照系を持つので、通常空間におけるアインシュタインの相対性理論は通用しない。

船を囲むように風船状に形成された亜空間フィールドは、充分にパワーを上げれば周囲の物質をかき乱すために、ワープ航行は恒星系の内部や惑星近傍では使えない。恒星表面で突然ワープフィールドを作ると、フレアを誘発することもある("Redemption"[TNG])。

電磁場の場合は、突き詰めれば荷電粒子の運動やスピン(回転)がその発生の根本にあるのだが、亜空間フィールドの場合はどうなのだろうか。もしかすると、もともと素粒子そのものに亜空間パラメータが内在しており、進歩した素粒子理論には亜空間フィールドもパラメータの一つとして方程式に組み込まれる可能性がある。もしくは、未知の素粒子に例えば電荷に対応する「亜空間荷」?を持つものがあるのかも知れない。いずれにせよ、亜空間の発生やその伝播を議論するためには「亜空間粒子」を持ち出す必要がある。
TNGからは"Force of Nature" [TNG]をはじめとして、"テトリオン (tetryon(s))"と"バーテロン (verteron(s))"という素粒子の事が何度も出てくる。亜空間の関連素粒子である。

"Force of Nature" [TNG]ではバーテロン機雷が Enterpriseのワープエンジンを無力化した。また亜空間を利用するすべての装置を無力化してしまった。バーテロンは亜空間との作用を抑制するので、ワープエンジンなどはオーバーロードしてしまうらしい。
またバーテロンを放射することによってワープエンジンの存在を隠すために使われたこともある。
バーテロンは亜空間の代表格であるワームホールをも破壊することも出来るらしいが、ベイジョーのワームホールが発生するバーテロンは、通常エンジンのみでワームホールを抜けるために必要不可欠である ("In the Hands of the Prophets" [DS9])。

テトリオンは亜空間内では安定だが、通常空間では不安定である。これは亜空間と通常空間との相互作用を媒介する粒子らしい。この素粒子は亜空間フィールドに必ず付随するもので、電磁場で言えば光子(photon)に相当するものではないかと推察される。通常空間では不安定であるが、強い亜空間フィールドにさらされた人体から随分時間が経ってから検出されたこともあるので、通常空間での崩壊の半減期は結構長い(数時間か?)らしい。 ("Suspicions" [TNG], "The Adversary" [DS9])。

機器など特に電磁装置(例えばフェイザー)が強いテトリオン照射を受けると、正常に機能しなくなる ("Blood Oath" [DS9])。しかしながら、生体も一種の電磁装置と考えられるが、人間を初めとして生物の生理機能に影響を与えるのはそう簡単ではないようだ。これは例えれば、コンピュータを狂わせる強度の電磁波を人間が受けても、少なくとも短期的には何の影響も受けないのと同じである。生体は各種フィールドに対して耐性があるのである。しかし亜空間フィールドが極めて強力な場合は、細胞膜を破壊するらしい ("The Nth Degree" [TNG])。この事は、トランスワープ実験の失敗にも関係しているものと思われる。【トランスワープ/ウルトラワープの項を参照】


補足解説

アインシュタインの特殊相対性理論によれば、万物の速度には制限があるという。最高速度は光速(秒速30万キロ)である。陽子、中性子、電子、各種ボソン、ニュートリノなどなど、どれも光速に達することは出来ない。唯一光速で運動できるのは光子のみである。しかしこれではどんなに高速の宇宙船を作っても、近場の恒星へ旅行するにも数十年もかかってしまう。これでは明るいSF小説は書きにくい。

しかし幸いなことに、 特殊相対性理論は超光速そのものを否定した理論ではない。「普通に加速しても光速以上にはならないよ」と言っているだけである。事実、粒子加速器の実験結果をみれば、これはほぼ確実である。もし仮に光速の壁を破ると、計算上質量や大きさが「虚数」となってしまう。虚数というのは物理的に意味のない数字(記号と呼ぶべきか)であるが、これは単に理論の限界を示しているに過ぎないのかも知れない。つまり 特殊相対性理論を超えた理論ならば超光速での物質の振る舞いを記述できる可能性は十分に残っている。そもそも、いくら天才とはいえ所詮は人間の理論である。

我らがスタートレックに登場するワープ航法は、 相対性理論に挑戦するものではなく、矛盾していない。これは通常の物理法則が成立しない『亜空間』というものを設定し、この亜空間トンネルのようなものの中を滑るように飛行する方法である。

Cochrane(コクレン)というのは、亜空間フィールドの強さの単位である。宇宙船を亜空間殻で包み、それが1,000 milli-cochrane つまり1 cochraneの臨界強度に達すると、船は瞬間的に光速に移行する。この時、船そのものは周囲の空間に対して「静止」したままなのである。つまり、ボトルシップをボトルごと川に流すようなものである。すなわち、加速せずして光速に達し、さらには光速を遥かに超えることができるのである。

この事情は懐中電灯から出る光と似ている。スイッチを入れるまでエネルギーは電池に化学エネルギーとして蓄えられているが、スイッチを入れると化学エネルギーは電気エネルギーを経て光子に変換されて、光速で進みだす。このとき光子は、加速して光速に達するのではない。光子は突如としてこの世にあらわれ、飛び出すのである。亜空間に包まれたエンタープライズ号をこの光子になぞらえれば理解しやすいであろう。

補足解説 2

近年、「ワープするためには全宇宙の総エネルギーを遥かに超えるエネルギーが必要。よってスタートレックのようなワープ航法は無理」などという根拠が曖昧で見当違いな話で盛り上がっているらしいのだが、本当に宇宙規模のエネルギーが必要かどうかはともかく、現在の物理理論だけでワープが可能と考えている人はもとよりほとんどいない。ワープを否定する人たちは、ワープを空間を折りたたむ手法と単純に考えているらしいのだが、確かに現代の常識の範囲内で人工的にそのような特殊空間を作るのは無理であろう。だからこそ亜空間の存在を仮定しているのである。VGRでは空間を大きく折りたたむ進歩したワープ航法も登場するが、亜空間の前提無くして空間の幾何構造を自在に操ることは困難と思われる。


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